パキスタンは大きな洪水被害にみまわれ、その被害規模もまだ明らかになっていない。現地ではコレラの発生が見られるなど、難民の救援は急を要する状態にある。だが、難民となった人々にさならる追い打ちをかける状況がパキスタンにある
在米パキスタン人は本国にほとんど救援金を送っていない。なぜかといえば、腐敗した政府の人間たちの懐に入ってしまうからである。役人たちにくすねられるとわかっていて送金する者はさすがにいないというわけである。
それだけではない。アフガニスタンから逃げこんで来たタリバン勢力が事態を複雑にしている。
タリバンは、難民に西側からの支援を拒否せよと呼びかけ、独自の救援活動を行って競争をしかけている。また、海外の救援団体の隊員を誘拐すると宣告している。
それだけを見れば、相変わらず硬直した宗教性と物事の軽重の判断のつかない頭の悪さ、凶暴さしかないが、実は彼らも海外からの支援を横領している可能性がある。
元々タリバンが長年戦えているのは、武器、資金の支援があるからである。
まず、アルカイダと一緒で、アラブ世界全体からの支援や支持があるだろう。また、パキスタン内のタリバン支持勢力がある。これは政府内や軍部にまでいて、軍事物資や情報をタリバンに渡している。アメリカがパキスタンに提供する武器の一部がそのままタリバンに流れているわけである。
それだけではない。中国からパキスタンに入る武器もタリバンに流れている。
中国からの武器は、パキスタン政府に入るものと、闇市場に流れこむものがある。ずいぶん前からパキスタンは大きな武器の闇市場と言われている。ここに流入する武器の多くは中国製と考えられる。
アフガニスタンとパキスタンの戦闘を見ると、大量の武器の消費消耗を考えねばならない。それを補うだけの武器の供給元は中国以外に考えられない。
勘定高い中国から武器を買い、戦争を続けるために、タリバンはいくら金があっても足りない。そして、今、国連の呼びかけもあって、パキスタンに巨額の支援金が入り始めている。
どれだけの金がパキスタン政府とタリバンに横取りされるのか……